介護士の転職問題

介護士が仕事がきつい老健を転職先に選ぶのはNGな理由を経験者がわかりやすく解説します

なぜ経験のある介護士が転職先に老健を選んではいけないのか?

その理由は「激務」だからです。

高齢者の方の介護施設として老健・特養・有料が代表としてありますが、そのなかでも老健は頭一つ抜けて忙しいです。

これはボクが実際に老健・特養・有料と3種類の介護施設で働いてきた経験から得た答えです。

老健での介護業務が激務になってしまう理由は、

  • 利用者の方の入退所が毎日のようにある。
  • 制度上問題のある利用者が集まる。
  • 介護業務以外に機能訓練もおこなう必要がある。

この3つが大きいでしょう。

ちなみにボクは40代ではじめての介護の現場に老健(しかもブラック)を選んでしまい、死にそうになるほど大変な思いをしました。

その生々しい経験談はコチラの記事をお読みください。

ブラック介護施設で正社員介護士として働いた2年間の暗黒体験談ブラック介護施設で卑劣な労働搾取にあった、思い出すだけでも胃が痛くなるような日々。 絶対的な人手不足で激烈にいそがしく、連日の怒涛...

 

10代~30代前半の体力のある、介護職未経験の方が老健をはじめての介護の現場として選ぶのはいいでしょう。

さまざまなタイプの利用者の方に接することができますし、機能訓練を通じてリハビリテーションの知識を身につけることもできますから。

老健で2年ぐらい働けば、どこの介護施設でも働ける経験と知識を身につけることができるでしょう。

3年働いて介護福祉士を取得してしまえば、高待遇の施設も選び放題になれます。

ですが経験がある介護士の方が、あえて激務の老健を選ぶ必要はありません。

今までに培ってきた介護職としての知識と経験を活かし、高給+人員配置も潤沢でホワイトな確率の高い「高級」有料老人ホームを転職先として選んだ方がいいと思うからです。

「老健がすべてブラックなはずはないだろ!」

という意見もあると思います。

ごもっともな意見ではありますが、ブラックではなくても激務に近い忙しさであるとこは変わりないでしょう。


 

お疲れさまです。

40代・現役「派遣」介護福祉士の小林です。

ボクは三流大学卒業後職を転々とし、フリーター&ニート生活を経験。

行きついた先がサービス残業80時間/月は当たり前の地獄級ブラック介護施設(老健)でした。

そのブラック介護施設で2年間働きましたが「このままでは死んでしまうかもしれない……」と思い、40代にして派遣介護士として働くことを決断。

友人たちからは「無謀だろ!」「アホか!」と言われましたが……

現在はきらケア派遣に登録し、高時給(1700円)+高待遇のホワイト介護施設(高級有料老人ホーム)で派遣介護士として働き、心身ともに安定してガッツリと稼ぐことができています。

介護職に特化した優良派遣会社「きらケア派遣」に登録するメガ盛り級のメリットだけではなく、知っておくべきデメリットについても知りたい方はコチラの記事をお読みください。

【体験談】きらケア介護派遣を利用してわかったメリットとデメリットボクがこのブログで一貫して、ブラック介護施設で搾取され消耗し続けている介護士の方に訴えていることがあります。 それは、「ブ...

きらケア派遣

 


 

それでは老健が激務になってしまう理由について、具体的に解説していきたいと思います。

老健は利用者の入退所が毎日のようにある

大前提として老健は在宅復帰を目的とした施設です。

高齢者介護施設の中での老健の役割とは、在宅で廃用性症候群などにより心身機能が低下してしまった高齢者の方が、入所中にリハビリテーションをおこない心身機能をUPさせて再び在宅生活が送れるようにするというものです。

それが老健の名目上の役割なのです。

ですが、実際は特養の入所待ち待機場所という役割が大きいのです。

老健は特養のように終の棲家とすることはできません。

なので毎日のように利用者の方々の入退所があります。

これが実に大変なのです。

老健で働いたことがない方にも分かるよう、入退所時の業務を具体的にあげていきたいと思います。

入退所の書類などの作成

  • 入所時のケアプランなどの書類の作成。
  • 居室ネームプレートなどの作成。
  • 入浴準備(入浴日の決定や洗濯ネットなどの準備)
  • リハビリの準備(リハの実施日やフロアでの機能訓練の内容について理学療法士の方などと打ち合わせる)
  • 退所時の情報提供書の作成。

入退所の居室の準備と掃除

  • 入所の方用のベッドの準備(ベッドマットの交換や介助バーの設置など)
  • 退所された方のベッド回りの掃除と消毒

入所者の方の情報収集

  • 利用者の方ご本人やご家族からのケアに必要な情報の収取。
  • 入退所された利用者の方の申し送り情報の記入(入力)。

 

ザックリとですが入退所にはこれだけの業務負担があるのです。

老健では通常の排泄介助・入浴介助・食事介助など以外に、この入退所の業務負担が乗っかってくるのです。

さらに、入退所があるということは常時利用者の方が入れ替わるということになります。

新たに入所された利用者の方にあわせたケアサービスの提供方法を、また一から考えなくてはならないという手間ひまがかかるのです。

激務にならないはずがありません。

ただ唯一の救いとして、「問題のある利用者の方が退所してくれる!」という逃げ道もあることも事実です。

制度上老健には問題のある利用者が集まる

老健は名目上は在宅復帰施設ですが、実際は特養の入所順番待ち場所という役割が非常に大きいです。

そしてここが重要で根深い闇の部分なのですが、「特養は必ずしも順番で入所できるわけではない」ということです。

特養は老健とは違い、入所すれば人生の最後まで生活することができる=終の棲家となる場所です。

なので、特養側も入所されてくる利用者の方の受け入れにはシビアになるのです。

つまりその利用者の方が、

  • 多くの介護量を必要とする心身の疾患がある。
  • 他者とトラブルを起こす確率が高い。

というような問題のある利用者の方の受け入れは、後回しにしてしまう、たらい回しにしてしまうのです。

 

多くの利用者(高齢者)の方は老後に潤沢な資金があるわけではありません。

高級有料老人ホームで優雅な老後を送れる方は限られています。

なので一部の在宅で人生の最後までを過ごされる方をのぞき、大部分の高齢者の方が人生の最後を利用料の安い特養で過ごしたいと思っています。

なのに、問題が多いため特養に入所をスルーされる……となるとどうなるでしょうか?

老健に「特養の入所待ち」として、「問題のある」利用者の方が回ってくるのです。

日に日に濃い(介護量の多い)利用者の方が集まり、その濃度は非常に濃いものとなるのです。

老健の問題のある利用者像とは

老健に入所されてくる問題の多い利用者の方は、具体的にどのような感じなのかを明らかにしてみたいと思います。

・多くの介護量を必要とする心身の疾患がある。

老健には医師、看護師の人員配置が義務付けられています。

つまり、医療的な処置の必要な方も入所されてくるのです。

正直「この利用者の方はもう病院レベルの方だろ……」という方も入所されてきます。

といことは必然的に介護士の負担も大きくなります。

注意が必要な心身の疾患を抱える一人の利用者の方に対して、排泄介助・入浴介助・食事介助時に気を付けなくてはならないこと、行わなくてはならない作業(処置の準備や補助)が増大するからです。

ただ看護の基礎知識などを幅広く身につけることはできます(でも大変です)。

 

・他者とトラブルを起こす確率が高い。

この利用者の方の対応が非常に大変です。

他の利用者の方や職員に対する要求レベルが非常に高く、

  • 「オレをなんでも一番にしろ!」
  • 「私の言うことは何でも聞きなさい!」
  • 「他の利用者なんか汚くて関わりたくない!」

という最高レベルのわがままを突き付けてきます。

なので、

  • 多床室(4人部屋)の同室者としょっちゅうもめ事を起こす。
  • 介護士もできるだけ関わりたくないので避けていると大声で怒鳴りまくる。

と、他の利用者や介護士ともトラブルが絶えません。

なかには女性介護士にセクハラをしまくる利用者もいます。

若い新人女性介護士が泣かされてしまうことも少なくありません。

女性介護士が関りを避けるので、数が少ない男性介護士の負担が大きくなってしまいます。

または認知症の方で暴言(さわるな!・殺すぞ!)・暴力(殴る・蹴る・噛みつく)により介護拒否が非常に強く、2~3人の介護士で排泄・入浴介助をしなくてはならない利用者の方もいます。

「認知症だから仕方がない」で済まされる問題ではありません。

もちろん認知症の方でも静かな方もいらっしゃいますが、老健には特養や有料の入所を拒否された大変な認知症の方が集まってしまうのです。

また不思議とというか、必然なのかもしれませんが、トラブルを起こす利用者の家族ほどクレーマーが多いのです。

問題の多い利用者×クレーマー家族」という二重の苦難が介護士にのしかかるのです。

あと、これはボクが老健・高級有料老人ホームで働いてきて感じたことなのですが、老健の問題のある利用者の方やそのご家族の方が、介護士に無理難題を押し付ける、非現実的な金銭的に見合わない高いレベルのサービスを求めてくる傾向があるということです。

お金持ち=性格がいいという訳ではありません。

高級有料老人ホームの利用者の方でも難しい利用者の方がいらっしゃることも事実です。

ですが、お金の余裕が心の余裕につながることは事実です。

なので高級有料老人ホームでは老健勤務時代に味わったような、人間の心の闇・底意地の悪さ・貧しさゆえの醜さを突き付けられるような、嫌な思いをすることは非常に少ないです。

老健は特養に入居できない問題のある利用者の方が集まりやすいという事実があるのです。

老健では介護業務以外にリハ室への誘導・機能訓練をおこなう必要がある

老健ではリハビリテーションの実施が重要であるため、タイムスケジュール表に沿って決められた利用者の方々を曜日・時間別にリハビリ室に誘導しなくてはなりません。

リハの曜日と時間を理解されている利用者の方も少しはいらっしゃいますが、ほとんどの方は居室やフロア内から探し出し、声掛け・誘導を行わなくてはなりません。

介護度が重くベッドに寝ている方は、車いすにトランス(移乗)をしなくてはなりません。

リハ室への誘導業務は基本一人の介護士が行います。

リハ室へ利用者の方を誘導するためにエレベーター前に集まっていただいていても、認知症のために徘徊してしまう方や、頻尿のために5分ごとにトイレにいく方もいらっしゃいます。

その方々への対応も一人で行わなくてはならないのです。

正直、めっちゃ大変です。

リハの誘導だけで汗だくになります。

さらにはリハビリに関する介護士の役割は、利用者の方のリハビリ室への誘導だけではありません。

リハビリ日以外にフロアでの介護士による機能訓練の実施もおこなう必要があるのです。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方々とカンファをおこない、その利用者の方に必要な機能訓練プログラムの作成と実施も行わなくてはなりません。

この経験は介護技術と知識を深めるのには非常に有効な経験になりますが、業務負担になることも事実です。

経験のある介護士の転職先にオススメなのは「高級」有料老人ホーム

ある程度経験を積んだ介護士の方の転職先にオススメなのが、高級有料老人ホームです。

「入居費用無料!」「低額の月額利用料!」を謳っているような、リーズナブルな料金で入居できる有料老人ホームではダメです。

「高級」有料老人ホームであることが重要なのです。

なぜなら、高級有料老人ホームは高額な入居費用・利用料を頂けるため、資金が潤沢だからです。

なので施設の介護設備も最新のものを取り入れており、介護士の心身の負担が少なくて済むのです。

ちなみにボクが現在働いている高級有料老人ホームでは、簡単な介護情報などの記録は1フロアに複数台配布されているiPadでおこなっています。

利用者の方々とコミュニケーションをとりながら、その場で入力作業ができてしまうため、業務時間の短縮に大きく貢献しています。

手書きで記録をするということはほとんどありません。

また、レクの設備(麻雀・カラオケ・ゴルフゲームやダンス教室の講師など)も充実しているので、レクの準備に頭を悩まし、時間外で準備をする必要がほとんどありません。

入浴設備も最新最新式のモノに交換したため、利用者の方・介護士への体の負担が更に軽減しました。

この設備を最新式のモノに更新できるというのも、高級有料老人ホームならではの強みでしょう。

さらには人員配置基準は老健は3:1ですが、高級有料老人ホームの場合は2.5:1、施設によっては2:1という十分なマンパワーを有しているところもあるのです。

 

給料面でも老健とは格差があります。

正社員介護士の場合でも月給30万円(+ボーナス2回/年)を頂けるところも少なくありません。

常勤介護職として高待遇のところで働きたいならば月給30万円以上の求人情報がゴロゴロとあるきらケア正社員紹介がオススメです(ご自身の目で確かめてみてください)。

一人では探しだすことが難しい職場環境がよく高待遇で働ける高級有料老人ホームを、専属のコーディネーターの方が「無料」で探し出してきてくれます

 

ただ、高級有料老人ホームは介護職初心者の方にはあまりオススメできません。

なぜなら介護を必要とする人、問題のある利用者の方が少ないため、介護技術・介護士としてのコミュニケーションスキルを身につけるのに時間がかかってしまうからです。

あくまでも、経験のある介護士が心身の負担を少なくして、安定して稼ぐための手段としての高級有料老人ホームなのです。

まとめ

はじめにも書きましたが老健は10~30代前半までの若い、介護職未経験の方が働きながら介護を学ぶには最適な場所ではあります。

なので老健での業務を否定しているわけではありません。

ですが、ある程度経験を積んだ介護士が転職先に選ぶのにはオススメはできません。

なぜなら、

  • 利用者の方の入退所が毎日のようにある。
  • 制度上問題のある利用者が多い。
  • 介護業務以外に機能訓練もおこなう必要がある。

という宿命が老健にはあるため激務になるからです。

 

ブラック介護施設のワナにハマらずに介護業界で上手く立ち回るには、

  • どこで働くか?「老健? 特養? 有料?
  • どのように働くか?「常勤? 派遣?

ということが非常に重要なのです。

ボクの経験上、介護士の転職としてとくにオススメな働き方は「派遣介護士」として「高級有料老人ホーム」で働くという方法です。

 

現在ボクは派遣介護士として、ホワイトな職場環境の高級有料老人ホームで働いています。

派遣介護士は派遣先の介護の現場が自分に合っていないと感じたならば、2~3ヵ月ですぐに他に移ることができます。

それだけではありません。

次の職場は登録している派遣会社のコーディネーターの方がすぐに探してくれるのです。

退職届を書いたり引継ぎをする面倒などありませんし、ハローワークに通って次の職探しをする必要もありません。

その他にも、

  • 高時給(1700円)で正社員よりも稼ぐことができる。
  • サービス残業がない。
  • 各種委員会や居室担当などの責任を負う必要がない。
  • フロアミーティングや行事に参加する義務がない。
  • 自分自身で稼ぎたい額を決められる。
  • 有休が確実に消化できる。
  • 面倒くさい人間関係(派閥など)に巻き込まれにくい。
  • 施設に直接雇用されていないため意見・要望を言いやすい。
  • 問題が起きても派遣会社が対応してくれる。
  • 働きながら自分に合った職場を探すことができる。

こんなにも牛丼メガ盛り+卵+味噌汁+ポテトサラダ級のメリットがあるのです。

派遣介護士として働くメガ盛り級のメリットについてだけではなく、気になるデメリットについても知りたい方はコチラの記事をお読みください。

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ボク自身の派遣介護士として働いてきた実体験から、派遣介護士として働くということを乾いたのどにしみ込むアクエリアスのように飲みやすく=わかりやすく解説しています。

 

ちなみにボクは複数の派遣会社に登録しているのですが特にオススメできるのは、

この二つに登録しておけばまず間違いないでしょう。

他を凌駕する圧倒的高時給(1700円)求人を取り扱う「きらケア介護派遣」について詳しく知りたい方は、コチラの記事をお読みください。

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くれぐれも転職で失敗しないことを祈ります。